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【BCPの基本③】BCPが進まない理由は「視点のズレ」にある
前回は、BCPが総務に任される背景について整理しました。 今回はさらに一歩進めて、「BCPがなぜ思うように進まないのか」を考えていきます。 BCPが進まない本当の理由 BCPがなかなか進まない。 事業部門の協力が得られない。 計画が形だけで終わってしまう。 こうした課題には共通する原因があります。 それが「視点のズレ」です。 経営者がBCPで見ているのは、建物の被害ではありません。 事業が止まること、顧客への供給が止まること、信用が失われること。 つまり「会社が継続できるかどうか」という視点です。 一方で、現場は自部門の業務を中心に考えます。 総務はその間に立ち、全体を調整する立場です。 この3者は、それぞれ見ているものが違います。 BCPがうまくいかない理由は、誰かが間違っているからではありません。 そもそも前提となる“視点”が揃っていないのです。 例えば「この業務を優先すべきか」という判断も、 経営と現場では答えが変わることがあります。 このズレを埋めるために必要なのが、総務の役割です。 経営の視点を理解し、「事業を止めないための取り組み」と
5月26日


【BCPの基本②】なぜBCPは総務に任されるのか
前回はBCPが「防災の延長ではない」という基本的な考え方を整理しました。今回はその続きとして、「なぜBCPは総務が担うことが多いのか」を整理します。 なぜBCPは総務が中心になるのか 「重要事業をよく知らないのに、なぜ総務がBCPを作るのか」 BCPに取り組む総務の多くが、一度は感じる疑問です。 この違和感は、とても自然なものです。 実際、経営者も「総務だけでBCPを完成させる」とは考えていません。 重要事業は経営が判断し、業務の詳細は事業部門が持っています。 ではなぜ、総務が中心になるのでしょうか。 理由は、総務が「全社を横断して調整できる唯一に近い部門」だからです。 総務は、事業部門・人事・経理・情報システムなど、会社全体と接点を持っています。 特定の事業に偏らないため、部門間の調整役として機能しやすい立場です。 さらに災害時には、安否確認や被害状況の集約など、最初に情報が集まるのも総務です。 そのため、自然と「BCPの中心にいる部門」になっていきます。 こうした構造を踏まえると、総務がBCPを担うこと自体は合理的です。 総務
5月19日


【BCPの基本①】BCPは「防災の延長」ではない
新年度に見直したいBCPと防災対策 新年度が始まり、組織体制や業務の見直しが行われる時期になりました。 防災やBCPについても、「一度作ったままになっている」「内容を十分に見直せていない」という声が多く聞かれるタイミングです。 特にBCPは、一度策定して終わりではなく、事業環境や組織体制の変化に応じて見直し続ける必要があります。しかし実際には、「災害対策として一通り整えたまま」になっているケースも少なくありません。 そこで今回から数回に分けて、BCPの基本的な考え方を改めて整理していきます。 難しい理論や専門的な話ではなく、「なぜそれが必要なのか」という視点から、BCPの本質を見直す内容です。 今回は、そもそもの前提として「BCPとは何か」、そして「災害対策との違い」について整理します。 「災害対策」と「BCP」は何が違うのか 「BCPはやっています」 そう答える企業は増えています。 ただ、その中身を見ると、災害対策で止まっているケースが少なくありません。 備蓄、什器の固定、安否確認。これらはすべて重要な取り組みですが、本質的には「被害を減らすた
5月12日


BCPを気候変動リスクに対応させるには?
夏日に達するような季節外れの暖かさになったかと思えば、急に気温が下がって雨が降ったり、寒暖差が激しい今日このごろです。 さて、本日のコラムのテーマは「気候変動」です。 気候変動・地球温暖化は社会的な課題だと認識しつつも、BCP(事業継続計画)/BCM(事業継続マネジメント)の取り組みとして落とし込むところまではいっていない企業も多いのではないでしょうか。 総務・BCP担当者の方にとっても、ただでさえいろいろなリスクが出てくる時代なのに、気候変動にまで対応していられない…と感じる方もおられるでしょう。 そこでまず参考にしていただきたいのが、環境省が2019年に公表した『民間企業の気候変動適応ガイド ―気候リスクに備え、勝ち残るために―』です(2022年に改訂)。 このガイドでは、気候変動による事業への影響を様々な事例から知るだけでなく、BCPへ反映するにあたっても大いに参考になるでしょう。 農業・漁業など、第一次産業に従事する方は直に気候変動の影響を受けるので実感されている方も多いと思います。それ以外でも、たとえば気候変動の影響によって大雨・洪水な
4月7日


新年度をきっかけにBCPを見直しましょう。
新年度を迎えるにあたって、改めて見直しておきたいのが会社のBCP(事業継続計画)や防災の体制です。新入社員の入社や、年度末での退職者、人事異動、組織(部署)の変更など、組織に様々な動きがあるのが年度変わりのタイミングです。
3月31日


【BCP-PREP機能紹介】「対応フロー」の機能拡充 〜進捗状況をわかりやすく可視化〜
弊社が提供する「BCP-PREP」は、 「 災害対策止まりのその先へ オールインワンBCP 」 を掲げるBCP活用ツールです。 今回のコラムでは、まもなくリリースとなる、初動対応を管理する「対応フロー」機能の改善についてお伝えします。 初動段階で実施すべきことは? そのまえに、BCPの初期のフェーズである初動対応がなぜ重要なのかを改めておさらいしておきましょう。 初動の段階で実施すべきこととして、主に下記のようなものがあります (1) 。 【対策本部(本社や各拠点)実施項目】 参集及び対策本部の立ち上げ・指揮命令系統の確立 建物、設備、従業員等経営資源の被害状況の確認 顧客・従業員の安全確保及び物資配給 二次災害の防止 自社の状況についての情報発信 事業継続計画(BCP)の発動 対応の記録 【各従業員の実施項目】 自身及び周囲の安全確保 自身の安否についての報告 堅苦しく聞こえるかもしれませんが、簡単にいえば、 ・組織としては状況を把握して、必要であればBCP発動のフェーズへ移行すること ・個人としてはまず身の安全と報告 が求められます。...
3月24日


中東情勢の緊迫化を契機に見直すBCP
中東情勢とBCP BCPといえば地震や台風のような自然災害や、コロナ禍以降特に顕在化した感染症リスクに対するものを中心に考えがちかもしれません。しかし、事業継続を脅かす要因はそれらだけではありません。内閣府の「事業継続ガイドライン」でも、事業継続はサプライチェーンを意識しながら取り組むべきものとされており、想定リスクを自社の実態に応じて整理することの重要性が示されています。BCPは、単なる「災害時の対応手順」ではなく、事業を止めないための経営上の備えとして捉える必要があります (1) 。 そう考えると、最近の中東情勢の緊迫化も、企業にとって無関係ではありません。外務省は2026年3月の注意喚起 (2) で、攻撃の応酬が続くなか、湾岸諸国等で空域・空港の閉鎖が生じ、多くの国でフライトのキャンセルや遅延が発生していることを案内しています。海外出張や駐在、海外の現地取引先とのやり取りがある企業にとっては、人の移動や安全確保そのものがBCP上の論点になっています。 なぜ日本企業へ波及しやすいのか さらに、日本企業はエネルギー面でも中東情勢の影響を受けやす
3月17日


続 東日本大震災から15年:「節目」のタイミングで考える
「あの日から何年」。 先週 に引き続きこのようなコラムを書いている私も、マスメディアも、そのような捉え方をよくしてしまいます。「10年」「15年」といったキリの良い数字のときは、なおさらそのような特集が増えます。 もちろん、このような形で震災を振り返るのは、メモリアルな日を機に災害を思い出して、犠牲になった方を悼み、被害に遭われた方にお見舞い申し上げるとともに、今後の災害に備えたい、そのような思いからです。 しかし一方で、被災された方や大切な方を亡くされた人々にとって、そのように災害を「点」として捉えた「区切り」にどれだけの意味があるのだろうか、ということにも思いを馳せる必要があると考えています。 サンドウィッチマンの伊達みきおさんは、宮城県出身で震災当日は気仙沼市でのテレビロケ中に被災し、震災後も東北に寄り添い続けていることで知られていますが、先日のラジオ番組で「“節目”とかないんだよと現地の方に言われる。我々はそこを大事にしないといけない」 (1) とおっしゃっていましたのが印象的です。こうした「節目」のときにだけ震災を思い出したように特集す
3月10日


東日本大震災からまもなく15年:改めてBCPの意義を考える
東日本大震災の発生(2011年3月11日)からまもなく15年を迎えます。 この機会にあらためてBCP〈事業継続計画〉について考えてみましょう。 東日本大震災に関連した倒産の調査結果では、震災により直接施設・設備等が被害を受けて経営破綻した企業(直接型)よりも、 震災による間接的な影響を受けて破綻した企業(間接型)のほうが圧倒的に多い ことがわかっています。 東京商工リサーチの調査では、2018年4月までの累計の震災関連倒産件数 計1,863件のうち、「直接型」が181件なのに対し、「間接型」が約9割を占める1,682件となっています (1) 。 また、BCPの有無による事業復旧までに要した平均復旧期間を比較した研究でも、震度6強という非常に強い揺れに見舞われた地域ではBCPありの場合:13.3日、BCPなしの場合:20.6日 という大きな差が見られたという研究結果もあります (2) 。 これらの事実は、2つのことを示唆しています。 ひとつは、地震・津波といった自然現象による被害を直接に受けなくても、事業が停止するリスクがあるということです。...
3月3日
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