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岩手県大船渡市の大規模林野火災からまもなく1年 〜林野火災による事業継続リスクを考える〜


写真:SanrikuPHOTO / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)※トリミングして使用

2025年2月26日に岩手県大船渡市赤崎町で大規模な林野火災が発生してから、まもなく1年になります。この火災では約3,370ヘクタールという広範囲が延焼し、1人が死亡、226棟の建物に被害が出ました。平成以降で最大規模の林野火災(山火事)です。

延焼を食い止められる「鎮圧」が3月9日、完全な「鎮火」が確認されたのが4月7日で、1か月以上に及ぶ火災となりました。

この林野火災による災害は火災としては極めて珍しい「激甚災害」(局激)に指定され、森林災害復旧事業に対する国庫補助が図られました。


「林野火災」というと、多くの人々が住む市街地とは無縁という印象を与えますが、大船渡市林野火災では、漁業設備や住宅にも被害が及び、決して人ごとではないことが示された形です。


林野火災によるリスクは下記のようなことが考えられます。


・道路通行止め等による物流の停滞、サプライチェーンの寸断(大船渡市林野火災では長期間にわたって一部市道の通行止めが実施されました)

・送電線等への延焼による電気・通信インフラの停止(大船渡市林野火災や2025年3月の今治市の林野火災でも安全のための予防的送電停止が実施されました)

・「煙害」による操業への影響など


つまり、一般的な火災を超えた事業継続リスクになりうることも考慮して、対策を考えておく必要があるのです。


林野火災のリスクを知るうえで一つの目安となりうるのが、2026年1月から順次、全国の自治体で運用が始まった「林野火災警報・注意報」です。大船渡市林野火災を受けて消防庁が創設したしくみです。


「林野火災注意報」は少雨・乾燥といった状況から林野火災が発生・延焼しやすい状況で、「林野火災警報」は少雨・乾燥に加えて強風注意報(気象庁)が発表されており林野火災が大規模化しやすい状況です。注意報発令時は屋外での火の使用中止の努力義務が課せられ、警報発令時は罰則付きの屋外の火の使用の制限が課せられます。


東京消防庁のように「林野火災警報等の発令状況」ページを設けていればそちらで確認できますが、そうでない場合は自治体ごとの防災メールや防災行政無線を確認して、リスクをチェックしましょう。

(自治体ごとに運用状況は異なります。たとえば、東京消防庁管内では1月から「林野火災警報」の運用は始まっていますが、「林野火災注意報」は4月以降開始予定です。)


大船渡市林野火災については具体的な発火源や原因の特定には至らなかったものの、林野火災の原因の多くはたき火、火入れ、(疑いを含む)放火など人的要因によるものが多いとされています。一人ひとりの努力による火災リスクの軽減が欠かせませんが、気候変動などにより林野火災の危険性が増しているという指摘もあります。

各企業も自らの事業継続を図るためにも林野火災を意識すべきフェーズになりつつあります。



参考


消防庁「林野火災への備え」 <https://www.fdma.go.jp/mission/prevention/rinyakasai/sonae.html>

消防庁 (2025)「大船渡市林野火災を踏まえた消防防災対策のあり方に関する検討会報告書」 <https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/items/post-167/06/houkokusyo.pdf>

東京消防庁 (2026)「林野火災警報等の運用開始について」 <https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/kouhyou/portal/fire_warning01.html>

朝日新聞 (2025.3.26)「山林火災続けば…今治市内ほぼ停電の可能性も すでに送電線1本停止」 <https://www.asahi.com/articles/AST3V1R7GT3VPTIL003M.html>




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