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大雪が長期化すると何が起きるのか


1月19日(月)午後、国土交通省は気象庁と共同で記者会見を行い、「大雪に対する国土交通省緊急発表」を出しました。北日本から西日本の日本海側を中心に大雪が5日以上続き、降雪量が多くなることが懸念されています。


大雪が予想されると、行政からは「不要不急の外出を控えてください」という呼びかけが行われます。これは市民の安全確保には欠かせませんが、一方で事業者にとっては大きな影響を及ぼすことがあります。


事業者への影響は業種によって大きく異なりますが、特に影響が大きいのが観光業界です。宿泊施設や観光地、飲食店は“お客さまの来訪”が事業の根幹であり、交通機関の長期運休が続くと、売上が一気に途絶えてしまいます。


観光事業者が「防災マニュアル」で対応できるのは、雪害そのものの軽減や初動対応までです。しかし、影響が長期化する場合に必要なのは BCP(事業継続計画) と BCM(事業継続マネジメント)の考え方です。「臨機応変に対応すればよい」という考え方もありますが、緊急時に的確な判断を下すには、あらかじめ一定の行動基準を定めておく必要があります。これは観光業界に限らず、すべての企業に共通するポイントです。


観光業界ではBCP策定率が他業種より低く、「宿泊業・飲食サービス業」は27.2%と最も低い水準にあります(1)

理由としては、


・人材、ノウハウ不足

・親会社、グループ会社からの要請がない


などが挙げられますが、一方で「策定後の効果が不明」と回答した割合は、全体では23.1%ですが、宿泊業では11.1%にとどまっています。このことから、宿泊業ではBCPの効果を比較的強く認識している企業が多いと考えられます。にもかかわらず、宿泊業のBCP策定率は27.2%と全体平均よりも低く、「効果は理解しているが、手が回らない」「インセンティブが弱い」などの理由で踏み出せない状況があると推察されます。


しかし、観光業界には「防災マニュアルだけでは防げない被害」が存在します。その代表例が、災害時に発生しやすい「風評被害」です。災害発生直後は、実際よりも被害が大きく伝わったり、被害のない地域まで「◯◯県で災害」と一括りにされてしまうことで、観光客が来なくなるケースがあります(2)。こうした誤認を防ぐには、


・正確な情報を自ら発信する体制

・関係機関へ迅速に情報提供する仕組み


が必要で、これもBCPの重要な要素です。


今回の寒波の影響が少ないことを願いつつ、「防災マニュアルの次の一手」として、観光業界の事例から自社のBCPを見直すヒントを得ていただければ幸いです。


参考


(1) 髙松正人 (2024)「観光事業者の事業継続計画策定の現状と課題」(JTB総合研究所) https://www.tourism.jp/tourism-database/column/2024/09/business-continuity-plan-formulation/

(2) 観光庁 (2022)「観光危機管理計画等作成の「手引き」~事業者向け~」 https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/810003034.pdf

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