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東日本大震災からまもなく15年:改めてBCPの意義を考える


東日本大震災の発生(2011年3月11日)からまもなく15年を迎えます。


この機会にあらためてBCP〈事業継続計画〉について考えてみましょう。


東日本大震災に関連した倒産の調査結果では、震災により直接施設・設備等が被害を受けて経営破綻した企業(直接型)よりも、震災による間接的な影響を受けて破綻した企業(間接型)のほうが圧倒的に多いことがわかっています。

東京商工リサーチの調査では、2018年4月までの累計の震災関連倒産件数 計1,863件のうち、「直接型」が181件なのに対し、「間接型」が約9割を占める1,682件となっています(1)


また、BCPの有無による事業復旧までに要した平均復旧期間を比較した研究でも、震度6強という非常に強い揺れに見舞われた地域ではBCPありの場合:13.3日、BCPなしの場合:20.6日 という大きな差が見られたという研究結果もあります(2)


これらの事実は、2つのことを示唆しています。


ひとつは、地震・津波といった自然現象による被害を直接に受けなくても、事業が停止するリスクがあるということです。

BCPは単に自社の拠点や従業員を守るためではなく、取引先・仕入先の被災による販路の減少やサプライチェーンの寸断などを見越して、代替調達ルートや資金繰りの計画をするなど、より手広い対策が求められていることがわかります。


もうひとつは、BCPに伴う取り組みが復旧を早める可能性が高いことです。

BCPの有無で平均復旧期間に大きな開きがあるのは、計画の発動により早期の事業再開にこぎつけたという面もあると思われますが、それだけでなく日頃からBCPを計画・運用するためにしていた取り組みが企業の「事業継続力」を高める面があったことは言うまでもありません。

事業停止期間を短くすることは、その後の資金流出や信用低下を防ぐ意味でも大きな意味があります。



最後に、物理学者・寺田寅彦が室戸台風(1934年/昭和9年)の直後に記した随筆「天災と国防」からある一文を紹介します。


文明が進むほど天災による損害の程度も累進する傾向があるという事実を充分に自覚して、そして平生からそれに対する防御策を講じなければならないはずであるのに、それがいっこうにできていないのはどういうわけであるか。

令和の時代を生きる我々にも耳が痛い言葉です。

コロナ禍といった感染症リスクや、安全保障上のリスクなど、世界はますます複雑化するなかで、悲しいことにBCPの重要性はますます増してゆくでしょう。

BCPは企業と人と、そして社会を守る第一歩と自覚して取り組む必要があるといえます。



[参考]

(1) 東京商工リサーチ (2018)「「東日本大震災」関連倒産(4月)」

(2) 松下哲明・秀島栄三 (2012)「東日本大震災における上場企業の被害特性とBCPによる事業の早期復旧効果」, 『土木学会論文集』, 68(1), p. 25-34.





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