来年春から変わる気象庁の警報・注意報 ② 〜BCPにも反映しましょう〜
- アールシーソリューション株式会社

- 1 日前
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前回は急遽、初めての発表があった「北海道・三陸沖後発地震注意情報」についてお伝えしました。
注意情報に伴う特別な注意の呼びかけは15日をもって終了しましたが、引き続き日頃からの地震への備えは続けましょう。
さて今回は、先々週のコラム(① 〜どう変わるのか〜)に続き、気象庁が発表する新たな防災気象情報(警報・注意報など)が来年5月下旬頃から変わることについての話題です。
まずホットな話題として、12月16日に気象庁が「新たな防災気象情報 特設サイト」を開設しました。
新しい体系になる防災気象情報について、気象庁の説明がまとまっています。
気象庁【新たな防災気象情報 特設サイト】
かなりボリュームがあるので、すべてをじっくり読むのは大変そうです。
まず防災・BCPの担当者の方に確認していただきたいのは、広報資料として掲載されている
「防災気象情報を活用する組織向けのチラシ」(PDF)です。

社内での周知にも役立てられそうですし、変更点の概要を知るにもうってつけです。
BCPへの反映のポイント
チラシにも「情報名称などが大きく変わるため、防災計画等の点検や見直しをお願いします。」と書かれているとおり、警報・注意報の体系がガラッと変わるので、BCP(事業継続計画)や関連するマニュアルへの反映も必須になります。
BCPの発動や判断の条件に警戒レベルに対応する情報が用いられていることもあるかと思います。
その場合はまず確実に今回の情報変更の影響があるはずです。
たとえば、計画書に「土砂災害警戒情報」を何らかの条件に設定している場面があれば、「レベル4土砂災害危険警報」に変更する必要があります。
わざわざ計画書を変更しなくても、災害が発生したときには読み替えればよいとお考えの方もいるかもしれません。しかし、実際にBCPを発動させるような大きな災害が発生したときに、防災気象情報の変更点に詳しい方が運用されるとは限りませんし、実際に出ている情報の名称と齟齬が生じてスムーズな情報共有の妨げになります。
この機会を捉えて、早めに変更箇所の洗い出しと反映の準備をしておきましょう。
また、①の記事で取り上げたように今回の変更では、河川の氾濫・大雨・土砂災害・高潮に関する警報・注意報を中心に、警戒レベルへの位置づけが明確な名称になります。
(例:「レベル5氾濫特別警報」、「レベル3高潮警報」など)
そのため、たとえば安否確認の条件としていずれも警戒レベル4相当の「氾濫危険情報」「土砂災害警戒情報」「高潮警報」を個別に位置づけていた場合、変更後はいずれも「レベル4◯◯危険警報」に名称が統一されるので、条件を「警戒レベル4」と一言でまとめてしまうことも考えられます(※)。
今回の新たな防災気象情報への変更を、BCPに定めた各種条件の見直しの機会と考えて、警戒レベル情報を中心に実効性があるかどうか、洗い出してみましょう。
※ 内閣府の避難情報に関するガイドラインでは、気象庁が発表するレベル4の情報は厳密には「警戒レベル4相当情報」に位置づけられており、自治体が発表する「警戒レベル4」(避難指示)とは区別されます。(レベル3・レベル5についても同様。)
しかし、実際の利用にあたっては情報発表の主体に留意したうえで、どちらも「警戒レベル4」にあたる情報として扱ってさしつかえないでしょう。
体系整理以外の“変化”にも目を向けるきっかけに
今回は防災気象情報の体系整理を契機に、関係する警報・注意報を中心にBCPの見直しを図るという内容でした。
しかし、気象庁が実施する体系整理以外にも、BCPを取り巻く情報は常に変化しています。
たとえば、各拠点(事業所)が所在する自治体の条例や、被害想定を知るうえで欠かせないハザードマップなどは定期的に変更点がないか見直して、BCPに反映すべき点がないかチェックする必要もあります(2)。
気象庁の情報変更とあわせて、総点検できると尚良いですね。
新たな防災気象情報の運用は2026年(令和8年)5月下旬から始まります。
まだ半年あると思っていると、すぐにやってきてしまいます。
気象庁の特設サイトを見て、まずは変更点をおさらいしてBCPに活かす準備をしましょう!
参考
(1) 気象庁「新たな防災気象情報 特設サイト」(2025年)
(2) 昆正和 著『あなたが主役のやさしいBCM』(2013年、日刊工業新聞社)



