来年春から変わる気象庁の警報・注意報 ① 〜どう変わるのか〜
- アールシーソリューション株式会社
- 21 時間前
- 読了時間: 4分

みなさんは、来年の春頃※から気象庁が発表する「警報」や「注意報」といった防災気象情報のしくみが大きく変わることをご存じでしょうか。
具体的には、警戒レベルに対応する4つの警報・注意報を中心に、大きく変わります。
変更点の概要
まずは、現在の警戒レベルに対応する警報・注意報と関連する情報を一覧で見てみましょう。

そして下記が、体系整理による改善後の情報です。

表を見ながら、大きな変更点を順に見ていきましょう。
変更点① 警戒レベルの併記
まず、最も大きな変更点は警報などの名前に「レベル◯」というようにどの警戒レベルに対応するかが書かれることになり、どの災害種別でも横並びで危険度を知ることができるようになった点です。
変更点② 「危険警報」の新設
①とあわせて大きな変更は、レベル5に対応するのは「特別警報」、レベル3に対応するのが「警報」、レベル2に対応するのが「注意報」と統一されたうえ、レベル4に対応する情報として「危険警報」という名前が新設されたことです。
これまで無かった名称なので慣れるまでは違和感があるかもしれませんが、警戒レベルとの対応関係のほうが大事なので、レベル4=危険警報 とセットで知っておきましょう。
変更点③ 土砂災害に関する情報の分離・統一
これまで、大雨警報・大雨特別警報は警戒する対象が浸水害であろうと土砂災害であろうと、大きな括りでは同じ名称で、警戒する対象に応じて「大雨特別警報(浸水害)」「大雨特別警報(土砂災害)」とカッコ内で呼び分けられていましたが、今回の改善により「レベル5大雨特別警報」「レベル5土砂災害特別警報」と、土砂災害の系統が独り立ちした形になります。
また、これまでは都道府県と気象庁が共同で発表する「土砂災害警戒情報」が異色の存在でレベル4に位置づけられていましたが、他との並びを統一して「レベル4土砂災害危険警報」となります。
変更点④ 高潮に関する情報のレベル感の統一
高潮では「高潮特別警報」も「高潮警報」もレベル4に位置づけられていてややこしかったですが、レベルに応じて5が特別警報、4が危険警報と他の災害種別にあわせられました。
他にも細かい変更点はありますが、ぜひ覚えておいていただきたいのは、
「レベル5◯◯特別警報」
「レベル4◯◯危険警報」
「レベル3◯◯警報」
「レベル2◯◯注意報」
というレベル感とセットの名称になり、警戒レベルに対応する警報・注意報については、「◯◯」にそれぞれの災害現象が入る形にひとまず統一されたということです。
報道では「危険警報」を導入するというという点が強調されるケースが多いですが、図を見ていただくとわかるようにそれぞれの災害種別(氾濫・大雨・土砂災害・高潮)という「縦糸」と警戒レベルという「横糸」を編んで、わかりやすい情報体系という「一枚の布」を織るためのピースにすぎないともいえます。
また、これらの情報は自治体(市町村)が発表する避難情報、具体的には「高齢者等避難(警戒レベル3)」、「避難指示(警戒レベル4)」、「緊急安全確保(警戒レベル5)」に対応しており、警報等の発表状況に応じた避難情報の発令の目安にもなっています。
また、それ以外の暴風・暴風雪・波浪・大雪の警報等の系列と、注意報しか存在しない情報(雷・融雪・濃霧・乾燥・なだれ・低温・霜・着氷・着雪の各注意報)は警戒レベルと対応しておらず、今回の改善では変更点はありません。
(これらの情報の危険警報が新設されることも当面はありません。)
次回は、これらの防災気象情報の変更を、BCPを運用するうえでどう捉えるかを考える機会にしましょう。それでは!
※ 新情報の運用開始は2026年の「出水期」(川が増水しやすい時期、おおむね6〜10月)の直前にあたる5月頃とされていますが、具体的な日程は未定です(2025年12月1日現在)。
参考
気象庁「防災気象情報と警戒レベルとの対応について」
気象庁、国土交通省水管理・国土保全局 (2024)「防災気象情報の体系整理と最適な活用に向けて ~「防災気象情報に関する検討会」取りまとめ~」
