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初の「北海道・三陸沖後発地震注意情報」発表。どう対応すべきか?

更新日:12月10日



昨日(12月8日)深夜の23時15分頃、青森県東方沖を震源とする強い地震が発生しました。

青森県八戸市で最大震度6強を観測し、北海道から山梨県までの広い範囲で震度3以上を観測しました。


北海道・青森県の一部と岩手県の沿岸に津波警報が発表され、久慈港(岩手県久慈市)で70cm、浦河(北海道浦河町)で50cmなどの津波が実際に観測されました(※この地震に対する津波警報・注意報は9日朝6時20分までにすべて解除されています)。


揺れが強かった地域の方々は、特に不安な夜を過ごされたかと思います。

被害に遭われた皆様にお見舞い申し上げます。


今回の地震では、史上初となる「北海道・三陸沖後発地震注意情報」が発表され、今後1週間は特別な備えをするよう呼びかけられているのも大きな特徴です。

この情報は一体何なのかを知り、後発地震のみならず今後の災害に対して備えていきましょう。



北海道・三陸沖後発地震注意情報とは?


気象庁が2022年12月16日に運用を開始した「北海道・三陸沖後発地震注意情報」は今日まで一度も発表されませんでした。

この情報は、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の想定震源域(下記地図の赤色 ██ のエリア)等で一定の規模を上回る地震(※1)が発生したときに、「新たな大規模地震の発生可能性が平常時と比べて相対的に高まっている」と判断して発表される情報です。


※1:想定震源域もしくはその周辺のエリアで発生したマグニチュード(モーメントマグニチュード)が7.0以上の規模の地震。


シンプルに言い換えれば、昨年(2024年)8月に日向灘の地震をうけて発表された「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」の “日本海溝・千島海溝沿いバージョン” ということになります。


南海トラフ地震臨時情報と同様に、「情報が発表されたからといって、特定の期間内に大規模地震が必ず発生するとは限らない」ということに留意が必要です。

内閣府は今後1週間の⼤規模地震発⽣可能性について、

 ・平常時は約 0.1 %(千回に1回程度)

 ・注意情報発表時は約 1 %(百回に1回程度)

と説明しています。

これを、「微々たる差」と捉えることもできますが、平常時と比べて約10倍高いリスクがあるともいえます。

重要なことは、2025年現在の地震学では「◯月◯日に巨大地震が起きる」といったレベルの予知は不可能で、あくまでも相対的なリスクの高まりであることを理解して、対応をとる必要があるということです。


この情報が発表されると、地震発生から1週間にわたって政府(内閣府)が「特別な注意の呼びかけ」を行います。

呼びかけをうけて防災対応をとるべき地域(下記地図の黄色 ██ のエリア)は北海道・青森県・岩手県・宮城県・福島県・茨城県・千葉県の7道県・182市町村におよびます。

お住まいや職場がある自治体が対象の地域かどうか、ぜひご確認ください。

このエリアは、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震が発生した際に震度6弱以上の揺れまたは3メートル以上の高さの津波が想定される地域という観点で選ばれています。


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防災対応をとるべき地域一覧
防災対応をとるべき地域一覧

情報を受けてどう対応すればいいか?


具体的にとるべき行動の例として挙げられているのは、主に下記のような点です。


日頃からの地震への備えの再確認

 備蓄品の確認、家具の固定や安全な避難場所・避難経路の確認など


②(迅速な避難が求められる場合)直ちに津波から避難できる体制の準備

 すぐに逃げられる服装での就寝、非常持出品の常時携帯など


高リスクの場所等から身の安全を確保する

 先発の地震で損壊したブロック塀の近くや、地震によって土砂災害リスクの高まっている場所に立ち入る際など、すぐ避難できるよう備える


特に①「日頃からの地震への備えの再確認」は、後発地震注意情報の有無や、情報の対象地域か否かにかかわらず、やったほうがよいことです。

日本はどこでも地震のリスクがあります。「家は北海道・東北から遠いから安心」などと決して思わず、これを防災に取り組む良い機会と捉えて、各自が行動しましょう。


また、事業者(企業)も対応が求められます。


基本的には一般の方と同じにはなりますが

・避難場所、避難経路、避難誘導⼿順の再確認

・従業員や来客(施設利⽤者)への正確・迅速な情報伝達

など、従業員や来客を守るための措置を行う必要があります。


大切なのは、休業までは求められていないということです。

もちろん事業者の判断で、独自の判断で休業を決断することはできますが、原則としては社会経済活動を継続したうえで防災対応をとるべきとされています。


正しく怖がり、立ち向かおう


日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の発生が想定されているエリアの近くでは、Mw(モーメントマグニチュード)7クラスの地震(先発地震)が起きたすぐあとに大きな地震が発生した事例が確認されています。


・1963年 択捉島沖地震

10月12日 Mw 7.0 の地震(前震) → 10月13日 Mw 8.5 の地震(本震)

・2011年 東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)

3月9日 Mw 7.3 の地震(前震) → 3月11日 Mw 9.0 の地震(本震)


しかし、冒頭にも書いたとおり、「後発地震」が必ず発生するとは限りません。

また、必ずしも「先発地震」にあたるような地震がなくても、いきなり大規模地震が来るおそれももちろんあるわけです。


「災害はいつでもやってくる」を前提に、後発地震注意情報をきっかけに防災行動を起こしましょう。


参考


内閣府(防災担当)・気象庁(2025.12.9)報道発表資料「北海道・三陸沖後発地震注意情報について」

内閣府(防災担当)「​​北海道・三陸沖後発地震注意情報の解説ページ」

内閣府(防災担当)(2022)「北海道・三陸沖後発地震注意情報防災対応ガイドライン」

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