防災の日のあれこれ
9月1日は「防災の日」です。1923年9月1日に発生した関東大震災(大正関東地震)に由来することはよく知られており、政府広報オンラインにも「この震災を教訓として、(中略)9月1日が「防災の日」と制定されました。」と書かれています。
実際はそれだけでなく、9月1日頃が「二百十日」(にひゃくとおか)にあたることも関係するとされています(*1)。
二百十日は二十四節気以外の暦の目印である「雑節」(ざっせつ)の一つで、立春から数えて210日目(=立春の209日後)にあたります。国立天文台が毎年発表する暦要項にも節分・土用・彼岸などと並んで、二百十日も雑節の一つとして載っています。今年(2026年)は立春が2月4日なので、雑節はちょうど9月1日です。
二百十日は稲の収穫期が近いこと、台風の来襲しやすいシーズンに近いことから、警戒を要する時期として古来から知られていたというわけです。俳句の秋の季語にもなっています。
1959年に襲来した「伊勢湾台風」は巨大な高潮を発生させ、5000名を超える戦後最悪の犠牲者数となってしまいました。この災害をきっかけに、翌1960年6月、政府は閣議了解により9月1日を「防災の日」と定めました。
この閣議了解の原本を国立公文書館デジタルアーカイブで見ることができますが(*2)、興味深いことに、総理府(現在の内閣府の前身)の閣議了解案では「台風、高潮、津波等の災害についての認識を深め…」とタイプされており、後から手書きで「地震」が追加されています(画像参照)。
![[件名・細目]「「防災の日」の創設について」(1960年6月17日)(平11総01510100-00400)、国立公文書館デジタルアーカイブ より、「閣議了解案」の案文の画像。](https://static.wixstatic.com/media/602883_403a176bea9243da95d650dd61fd704f~mv2.jpeg/v1/fill/w_980,h_735,al_c,q_85,usm_0.66_1.00_0.01,enc_avif,quality_auto/602883_403a176bea9243da95d650dd61fd704f~mv2.jpeg)
案文から「地震」が抜けていたのは単なる偶然なのでしょうが、伊勢湾台風による高潮災害のインパクトの大きさを物語っているように思われてなりません。
そして、防災の日創設のきっかけとなった伊勢湾台風を上回る犠牲者を生じさせてしまったのが、1995年の阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)だったことも、後世の我々は知るところです。
7月28日に発生した令和8年熊本地震。レベル5大雨特別警報が発表された令和8年8月千葉豪雨、そして、8月下旬に同じくレベル5大雨特別警報発表を伴う大雨被害があった富山県・石川県、福井県の事例。
今年の防災の日に至るまでの約1か月だけでも巨大で多種多様な災害が日本各地で発生しました。関東大震災からは百余年、伊勢湾台風からは60年以上が経ちますが、残念ながら日本が災害列島であることからは逃れられないと改めて痛感いたしました。末筆ながら、犠牲になられた方にお悔やみ申し上げますとともに、被災された方にお見舞い申し上げます。 *1:東京消防庁「防災の日と二百十日」
*2:[件名・細目]「「防災の日」の創設について」(1960年6月17日)(平11総01510100-00400)、国立公文書館デジタルアーカイブ




