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熊本地震から1か月 ―― 中小企業の「事業撤退」という判断

スーパーマーケット(イメージ)

熊本地震の発災から1か月が経とうとしていたころ、地元スーパーマーケットが閉店するという報道に触れました。発災からわずか2日後には営業を再開し、地域の生活インフラとして懸命に店を開け続けていたにもかかわらず、最終的には修繕を断念し、閉店に至ったという内容でした。


中小企業庁の「中小企業BCP策定運用指針」では、事業を100%復旧させるだけでなく、早期復旧によって100%以上の成果を生む、いわば「ピンチをチャンスに変える」考え方が示されています。一方、発災を機に事業から撤退するという選択肢も、BCPの一部として位置づけられています。この考えは一般的には事業の一部に関する話であり、企業全体の終わりを意味するものではありません。ところが今回のスーパーは、地域に1店舗のみを運営する単独店であり、閉店は企業にとって事業の終了とほぼ同義でした。従業員も解雇となり、地域の雇用と生活インフラが同時に失われる結果となるようです。地震による建物被害は甚大で、修繕費は中小企業にとって到底容易に捻出できる額ではなく、むしろ限られた経営資源の中で最善を尽くした結果としての判断に違いないと、私は考えています。


この閉店は、企業のBCPにあらかじめ計画されていたものではないでしょう。だとすれば、店舗運営を続けるために何が足りなかったのか。地震の被害が大きくてままならなかった、では終わらせないように、事前に準備しておくべきことがあったかもしれません。人口減少・高齢化が進む地域の単独店では、修繕投資を回収する見通しを立てること自体が難しく、資金調達のハードルは高いものになると考えられます。災害によって資金に窮するであろう企業はこのスーパーに限りません。資金力の弱さは中小企業のBCPにおける最大の脆弱性と言えます。だからこそ、BCPの中に、事業拠点の自治体が持つ公的支援制度や過去の災害時にどの程度の支援金が提供されたのかといった情報を収集しておく必要があります。資金を蓄えることが難しいのであれば、資金をどう調達するかをBCPに組み込むことが、中小企業にとって現実的な備えとなります。


今回の地元スーパーの閉店は、災害が中小企業にもたらす影響の大きさを改めて示す事例となりました。BCPは単なる計画ではなく、企業の存続を左右する現実的な選択肢であることを、私たちは改めて認識する必要があります。


※ 本コラムは9月3日8時時点の情報をもとに執筆しています。今後、被害状況や各企業の対応が明らかになるにつれ、内容が必ずしも適切でなくなる可能性があります。必要に応じて、内容を更新または差し替える場合があります。

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