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BCP策定率が低い理由

更新日:10月16日

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BCPとは?


BCP(事業継続計画)とは、自然災害などの緊急事態において、企業の損害を最小限に抑えて重要な業務の継続・早期復旧を図るために、平時・緊急時の方針や対応などをあらかじめ決めておく計画のことです。


緊急事態に遭遇した際に適切な対応を取れなければ、会社事業の継続にかかわるサービスの提供や製品の供給などが途絶えてしまい、場合によっては事業の縮小を余儀なくされ、最悪の場合は倒産してしまいます。そうした事態を防ぐために、重要な事業を中断させない、一時的に中断したとしてもなるべく早く復旧させるための方針等を定めておくのがBCPとなります。


BCPの策定状況


BCPの策定状況はさまざまな調査で数字が明らかになっています。


たとえば、内閣府が隔年で実施しているBCP策定状況調査の最新版(2024年1月実施)(1)では、全体の 50.5% の企業が「策定済み」と回答しており、企業規模ごとの内訳は下記のとおりです。


・大企業 76.4%

・中堅企業 45.5%

・その他企業 45.8%


一方、帝国データバンク(以下、TDB)による調査(2025年5月実施)(2)では、20.4% の企業が「策定している」と回答しています。企業規模を分ける基準は内閣府調査と異なりますが、内訳は下記のとおりです。


・大企業 38.7%

・中小企業 17.1%


「策定率は増加傾向にある」「企業規模が大きい企業のほうが策定率が高い」という傾向はどちらの調査でも変わりませんが、調査結果の数字には大きな開きがあります。


考えられる原因のひとつは、「策定済み」の定義の違いです。内閣府調査の策定状況の設問では、複数のリスクを対象としたBCPについては、「最も策定が進んでいるリスクについての状況」の回答を促すようになっています。たとえば「巨大地震の対応を定めたBCPしかない」という場合でも内閣府調査では「策定済み」と答えやすいつくりになっています。


さらに、内閣府調査はより厳しい基準で「大企業」が定義されているうえに、「ウェイトバック集計」という手法で補正がかけられており、大企業を中心に策定率が高く出やすくなっています。


これらの理由から、内閣府調査のほうが策定率が高くなりやすいと考えられます。


また、両調査とも回答率は50%に満たないという点も留意が必要です(内閣府:37%、TDB:40.3%)。BCPに関心がある企業ほどこれらの調査に回答したとすれば、未回答の企業群の策定率はさらに低い可能性が高く、実態は調査結果で出たパーセンテージよりもさらに低いということも十分に考えられます。


どちらも意義深い調査ではあるものの、手放しに「BCPの策定率は高くなっている」とは喜べない実情もあることはご理解いただけるかと思います。


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BCPはなぜ策定されないのか?


上のセクションでは策定率のさまざまな数字から、まだまだ実態としてはBCPを策定している企業は少ないことを紐解いてきました。


では、なぜBCPは策定されないのでしょうか。


TDB調査では「BCPを策定していない理由」という複数回答可の質問項目に対して、

・策定に必要なスキル・ノウハウがない

・策定する人材を確保できない・策定する時間を確保できない

といった回答が上位を占めています。


策定の必要性を認識している企業であっても、スキル・ノウハウ、人材、時間といったリソースが不足しているから(もしくは、実際には不足していないのに不足していると感じているから)策定していないという傾向が見えてきます。


そうなると必要になってくるのは、大きく

 ① 「なぜBCPが必要か」という理由付けを強化してリソースを割くこと

 ② BCPを策定するハードルを下げること

であると考えられます。


今後、弊社のBCPコラムではBCPの話題を中心に、BCPによる事業継続を応援する記事をご紹介してまいります。

ぜひご覧いただけますと幸いです。


参考文献


  1. 内閣府(防災担当)「令和5年度企業の事業継続及び防災に関する実態調査(一般統計調査)」(2024年3月) <https://www.bousai.go.jp/kyoiku/kigyou/index.html>

  2. 帝国データバンク「事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(2025年)」(2025年6月20日) <https://www.tdb.co.jp/report/economic/20250620-bcp2025/>



『BCP-PREP』のご紹介

BCP-PREPは「災害対策止まりのその先へ オールインワンBCP」をコンセプトに、 BCPに関する課題解決を目指すツールです。



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