本来あるべきBCPの姿 ―― 災害前から実行されている「見えないBCP」

台風到来の季節が続きます。今一度、平時のBCPの実行状況を見直し、必要な準備が整っているか確認しておきたいところです。
昨日のコラムでは、台風接近時に百貨店が閉店時刻を繰り上げた判断の背景に、BCPが静かに機能していたことを紹介しました。今回は、その「見えないBCP」の本来の姿について整理します。
BCPは災害が発生してから動き出すものではありません。
災害前から、企業はリスクアセスメントに基づき、状況を常時監視し、判断基準に照らして「通常どおり業務を続けてよいか」を判定しています。必要に応じて、従業員の帰宅を早めたり、テレワークに切り替えたり、顧客への事前告知を行ったりする。これらはすべて、災害が起きていなくても行われるべきBCPの実行です。仮に今回の百貨店が時短営業を行わなかったとしても、あるいは、数時間の営業時間の短縮で済み、それを事業中断とは判断しなかったとしても、BCPの発動基準に関わる情報を収集し、判定するというBCPを実行していたわけです。
今回の台風25号では、シルバーウィーク中ということもあり、多くの企業は休暇中でした。その一方で、経営者や総務担当者の中には「台風で被害が出ないか」「従業員の安否確認が必要になるのではないか」と心配し、気象情報や交通情報をこまめに確認していた方も多かったのではないでしょうか。興味深いのは、こうした行動がまさにBCPの実行そのものだという点です。本人はBCPだと思っていなくても、
・リスクアセスメントに基づき
・状況を監視し
・判断基準に照らして
「休暇を繰り上げて出勤すべきか」「休み明けに通常どおり業務を再開できるか」を考えていたわけです。ただし、感覚に基づいて行っていた可能性もあります。企業によっては、災害対策マニュアルがあり、「風速○メートルで在宅勤務へ切替え」といったルールが定められている場合もあるでしょう。
BCPは災害前から動いている仕組みであり、平時の取組こそが企業の事業継続力を左右します。今回の台風は、防災とBCPを一体的に管理する仕組みを整えるよい機会になるかもしれません。
※ 本コラムは9月22日9時点の情報をもとに執筆しています。今後、台風25号による被害状況や各企業の対応が明らかになるにつれ、内容が必ずしも適切でなくなる可能性があります。必要に応じて、内容を更新または差し替える場合があります。




