台風接近時の百貨店の時短営業 ―― その判断の裏側にあるもの

台風25号が関東に接近した21日月曜日、千葉県内の百貨店の一部が閉店時刻を繰り上げました。「安全のために早めに店を閉めた」というニュースとして受け止めた方が多いと思います。しかし、この判断を「単なる時短営業」と捉えがちで、その裏側でBCPが静かに機能していたと考える人は多くないのではないでしょうか。
企業はBCP策定時、早い段階でリスクアセスメントを行います。例えば、大型百貨店の場合はどんなものでしょうか?
人(従業員・来客)
来客の滞留人数
高齢者、子ども、障害者の割合
館内での雨による転倒、飛来物のリスク
帰宅困難者の発生可能性
従業員の帰宅手段の確保
建物・設備
ガラス面の風圧耐性
屋上設備や壁面設備の飛散リスク
館内の浸水
停電によるエレベーター停止時の対応や館内放送
非常用電源の稼働時間
交通・周辺環境
JR、私鉄各社の計画運休
バスの運行状況、タクシーの混雑状況
周辺道路の冠水予測
駐車場の閉鎖判断
テナント
テナントごとの営業判断
テナント側のBCPとの整合性
おそらくはもっと多く、詳細にリスクアセスメントを行っているはずです。そして、台風接近時には気象情報だけを見て判断しているわけではありません。公共交通機関の運行状況、周辺道路の冠水リスク、従業員の帰宅手段、館内の滞留人数、テナントの状況など、多数の情報を常時監視し、事前に定めた判断基準に照らし合わせながら「通常どおり営業を続けてよいか」を判定しています。
この「監視し、判定し、必要に応じて次善策を取る」という行為こそが、BCPの実行です。多くの企業は「BCPは災害が起きてから発動するもの」と誤解していますが、実際には災害が起きる前から、BCPは静かに、しかし確実に動いています。今回の百貨店の時短営業は、まさにその「見えないBCP」が機能した結果ではないかと思います。
次回は、こうした「災害前から実行されているBCP」の本来の姿について、もう少し詳しく整理したいと思います。
※ 本コラムは9月22日9時時点の情報をもとに執筆しています。今後、台風25号による被害状況や各企業の対応が明らかになるにつれ、内容が必ずしも適切でなくなる可能性があります。必要に応じて、内容を更新または差し替える場合があります。




