東日本大震災から15年を経て
先日、23歳で、まもなく入社2年目を迎える社員がひとつの防災コラムを投稿しました。15年前の震災時の「ゆれくるコール」に関する出来事を紹介しています。彼女は当時8歳で、当然ながら発災時の会社の状況を知る世代ではありません。それでも、私が折に触れて伝えてきた話を覚えていて、自分の視点で防災について考え、言葉にしてくれました。
弊社が緊急地震速報のサービスを開始したのは2007年です。緊急地震速報を民間で扱うパイオニア企業のひとつとして、防災とITとを結びつける挑戦を始めました。スマートフォンアプリをリリースしたのは2010年。「5秒後に震度3が来る」といった通知が「リアルでおもしろい」「地震を当てるアプリ」と受け止められ、多くの人が手に取ってくれました。
そして東日本大震災。
口コミで一気に利用者が増え、その対応に追われました。この経験と知見が、弊社が「防災×IT」の仕組みを着実に開発し続ける基盤となりました。
私は、防災に詳しくてこの事業を始めたわけではありません。縁があって関わり、気がつけば防災の世界の前に立っていました。私は大きな災害に遭ったことがなく、弊社も大きな被害が生じたことはありません。被災者の方々に比べれば語るべきことの重さはたかがしれています。それでも、システムエンジニアとして経験してきた私が担える役割は明確でした。
IT を活用して、必要な情報を必要な人に届けること。
ただ、防災に取り組む中で、多くの人は関心が高まってもすぐに薄れてしまうという現実を知りました。その現実に向き合う中で、「どうすればもっと身近に感じてもらえるか」を考えるようになりました。その結果として、もっと楽しく、おもしろく、身近に感じてもらえる仕組みづくりに取り組むようになりました。この姿勢は、今では会社の文化として根づきつつあります。だからこそ、「遠いもの」ではなく、「日常の中の身近にあるもの」として届けるための仕組みづくりに取り組んでいます。
若い社員たちは、防災カードゲームを実現するなど、新たな発想と力を持っています。彼らが自分の言葉で防災を語り、行動し始めていることは、会社にとって大きな財産です。そして今、若い世代が防災を担い始めています。これまで、私自身が諦めずに続けてきた取組と、社員たちとともに支えてきた事業を、次の世代へつなぎ、彼らがさらに発展させていく。その循環こそが、未来の防災を支える力になると感じています。
防災、そしてBCPは、日本にはなくてはならないものです。私たちが努力を継続することで、日本の防災力、危機管理対応力、そしてレジリエンスの向上に寄与できるはずです。若い力とともに、これからも歩み続けます。未来の防災をつくるために、これからも挑戦を続けていきます。
防災に対する関心が時間とともに薄れていくという現実は、社会全体に共通する課題です。それは、東日本大震災の被災地でも同じであり、地域の方々は「記憶をつなぐ」ために日々努力を続けておられるかと思います。私たちが社内で世代を超えて防災を受け継ごうとしていることは、被災地で続けられている営みと通じるものがあります。私たちの取組は単に会社の成長のためだけのものではありません。この姿勢が被災地を含む多くの方々の安全につながっていくことを願っています。被災地の皆さまとともに手を携えながら、「命を守る文化」を未来へつなぐ一端を担っていきたいと考えています。
最後に、震災で亡くなられた方々に、改めて哀悼の意を表します。被災された皆さま、今もなお困難の中にある方々に、心よりお見舞い申し上げます。そして、これからも私たちは、できることをひとつずつ積み重ねながら、安心して暮らせる社会づくりに貢献して参ります。
2026年3月11日
アールシーソリューション株式会社
代表取締役 栗山 章

